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参加作家第一弾を発表しました

2014.04.04 金曜日 21:46

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本番の会期までちょうど一年を切った2014年4月4日、「PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015」の構成と参加作家第一弾を発表しました。今回の記者会見で発表した作家は下記のとおり。詳細は、プレス向け情報のページに掲載しているプレスリリースをご参照ください。



蔡國強(ツァイ・グオチャン)

ヘフナー/ザックス(Hoefner/Sachs)

石橋義正(いしばし よしまさ)

ピピロッティ・リスト(Pipilotti Rist)

ウィリアム・ケントリッジ(William Kentridge)

スーザン・フィリップス(Susan Philipsz)

ドミニク・ゴンザレス=フォルステル(Dominique Gonzalez-Foerster)

やなぎみわ(やなぎ みわ)




蔡國強(ツァイ・グオチャン)
1957年中国福建省泉州生まれ、ニューヨーク在住
www.caiguoqiang.com

北京オリンピック開会式の花火の演出、火薬で描く「火薬絵画」などのダイナミックな作品制作や奇抜なプロジェクトで世界的に知られる。1986年から1995年まで日本に滞在し、筑波大学在学中に河口龍夫から現代美術について薫陶を受ける。1994年には京都市役所前で「長安からのお祝い——平安建都1200年のためのプロジェクト」を行う。その後ニューヨークに活動拠点を移し、漢方薬や風水など、中国の伝統文化を題材に彼独自の批判精神を加えて現代美術の言語に置き換える作品を制作している。
1999年の第48回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展では《ヴェネツィア収租院》というインスタレーション作品で金獅子賞受賞。2007年に第7回ヒロシマ賞、2012年に第24回高松宮殿下記念世界文化賞を受賞した。
彼は十年近くの時間をかけて、中国僻地の農民が知的な好奇心と製作衝動によって日常生活の身近な材料だけで自作した、ロボットや潜水艦、飛行機などを収集する「農民ダ・ヴィンチ」のプロジェクトを続けている。この一部が2015年京都での作品の核となる。

関連リンク:オープンリサーチプログラム04[対談]ダイアローグ——蔡國強×浅田彰(2013年10月14日)

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上段・左: Cai Guo-Qiang with various robots created by Wu Yulu and his family, March 2010. Photo by Lin Yi, courtesy Cai Studio 上段・中央: Installation view of Wu Yulu’s Robot Factory and Children Da Vincis, Centro Cultural Banco do Brasil, Brasilia, 2013. Photo by Joana França 上段・右: Installation view of Children Da Vincis, Prédio Histórico dos Correios, São Paulo, 2013. Photo by Joana França 下段・左: Installation view of Fairytale (below) and Complex (above), Centro Cultural Banco do Brasil, Brasilia, 2013. Photo by Joana França 下段・中央: Installation view of Cai Guo-Qiang: Da Vincis do Povo, Centro Cultural Banco do Brasil, Rio de Janeiro, 2013. Photo by Joana França 下段・右: Installation view of Cai Guo-Qiang: Da Vincis do Povo in the street outside Centro Cultural Banco do Brasil, São Paulo, 2013. Photo by Joana França






ヘフナー/ザックス(Hoefner/Sachs)
フランツ・ヘフナー(Franz Hoefner)●1970年ドイツ・シュタルンベルク生まれ、ベルリン在住
ハリー・ザックス(Harry Sachs)●1974年ドイツ・シュトゥットガルト生まれ、ベルリン在住

ベルリンを拠点に活動するユニットで、都市環境下の建築と居住の問題を過激なユーモアを盛り込んだ美術的手法を使い、プロジェクト、パフォーマンスとして作品化している。彼らの作品には、単なるシェルターとしての「住宅」と長く生活する空間としての「住居」との建築的 境界線を問いかけるものが多い。その一例である2006年の《Honey Neustadt》プロジェクトでは、旧東ドイツ・ハレの化学プラント労働者のベッドタウン、ハレ=ノイシュタットで1960年代から1980年代後半にかけて建てられたプレハブ住宅を模し、発泡スチロール製の巣枠を積み上げて1/20のミニ住宅を作り、当時大量発生して駆除の対象になりかけた100万匹のミツバチのための労働者住宅としての蜂の巣を設置した。そこで収穫された250 kgの蜂蜜は「ベルリンの花」というラベルで商品ならびに美術作品として販売された。
PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015では、京都での長期滞在と都市調査に基付くプロジェクトが構想されている。

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上段: Hoefner/Sachs, Honey Neustadt, 2006. © Hoefner/Sachs 下段・左、中央: Hoefner/Sachs, Real Restate, 2011. © Hoefner/Sachs 下段・右: Hoefner/Sachs, Kleistpark, 2011. © Hoefner/Sachs






石橋義正(いしばし よしまさ)
1968年京都生まれ、京都在住
www.ishi-pro.com

京都市立芸術大学大学院造形構想在学中にロイヤル・カレッジ・オブ・アート(ロンドン)映画科に交換留学後、アマチュアの俳優と共に低予算で制作した16mm映画『狂わせたいの』(1997)が第8回日本映画プロフェッショナル大賞新人監督賞を受賞、映画界だけでなく一部の美術関係者からも「上質なB級映画」として高い評価を受けた。最新作は石橋オリジナル脚本の長編映画、山田孝之主演『ミロクローゼ』(2011)。
また、美術、音楽、映像が融合するグループ「キュピキュピ」を主宰し、作品制作やパフォーマンスを行ってきている。その領域横断的で過激な娯楽性に満ちた作品は、1999年の「身体の夢」(京都国立近代美術館)への出品以降、世界各地の美術館や国際展に招待されている。2010年に丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で個展開催。2011年の京都創生座とのコラボレーション作品『伝統芸能バリアブル』(京都芸術劇場春秋座)では、伝統浪曲や日本舞踊、和太鼓などの伝統芸能に生きる女性たちと共演、古典芸能のステージに3D映像を使用して話題を呼んだ。

関連リンク:アクセスプログラム[勉強会]石橋義正(2014年4月18日)

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上段・左: キュピキュピ《atmesppai》2012 © Kyupi Kyupi 上段・中央:『ミロクローゼ』2011 監督・脚本・製作・編集:石橋義正 © Milocrorze Project 上段・右:「オー!マイキー」2002– © Oh! Mikey Project 2014 下段・左: 石橋義正《BLACK RINA》2010 © Ishibashi Production 下段・中央: キュピキュピ《シッケモニカ》2010 © Kyupi Kyupi 下段・右: 石橋義正《WHITE SNAKE》2010 © Ishibashi Production






ピピロッティ・リスト(Pipilotti Rist)
1962年スイス・グラープス生まれ、チューリヒ在住
www.pipilottirist.net

ウィーンの工芸学校、バーゼルのスクール・オブ・デザインで学ぶ。音楽グループのステージデザイナーからメディアアートに進む。男性社会が女性に投げかけるクリシェを 巧みに逆用しその偏見を暴露するとともに、「女性らしさ」の否定的な側面を肯定し、女性達を励ます作品を制作。この一連の作品の集大成である《Ever is Over All》 は1997年第47回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展で若手作家優秀賞を受賞した(同作品の日本初公開は1999年京都国立近代美術館で開催された展覧会「身体の夢」であった)。近年の作品は家具や日用品などを取り込む大型のビデオインスタレーションが多いが、抽象的かつ装飾的な表現を通じた視覚原理への興味と豊かな色彩へのこだわりはより先鋭化している。彼女は質問に答える形で何度も、「私はただ【色】を世界に取り戻し、現実に近づこうとしているんです」と語っている。
日本での個展には原美術館での「ピピロッティ・リスト:からから」(2007–08)がある。ヨコハマ国際映像祭2009では、初の長編映画『PEPPERMINTA』がアジアで初めて上映された。

関連リンク1:オープンリサーチプログラム[レクチャー]ピピロッティ・リスト(2014年4月29日)
関連リンク2:アクセスプログラム[ギャラリートーク]私的防災計画:ピピロッティ・リストの作品を中心に(2014年4月29日)

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左・中央: Pipilotti Rist, Mercy Garden Retour Skin, 2014. Audio video installation (video still). Courtesy of the artist, Hauser & Wirth and Luhring Augustine 右: Pipilotti Rist, Mercy Garden Retour Skin, 2014. Audio video installation (photograph inspired by Yuji). Courtesy of the artist, Hauser & Wirth and Luhring Augustine






ウィリアム・ケントリッジ(William Kentridge)
1955年南アフリカ共和国ヨハネスブルグ生まれ、同市在住

「動くドローイング」とも呼ばれる素描をコマ撮りした手描きアニメーション・フィルムで世界的に知られた美術家。人形劇やオペラの舞台監督、俳優、演出家、著述家など多彩な分野でも活躍している。近年は複数の人々を巻き込む大規模な構成の作品が増えたが、あくまでも彼の作品は、スタジオ内での膨大な思索と手作業が集積されたアニメーションと彼自身の身体的思考が基本である。彼の母国である南アフリカの状況を、「自分のスタジオ」を起点として考察し、ヨーロッパ近代の知と技術史を手掛かりに、身体感覚を伴う堅実な歩みで人間の普遍的な問題を検証し、視覚的な表現へと昇華している。日本では2009–10年に京都国立近代美術館ほか2都市での大規模な個展の開催、2010年には第26回京都賞(思想・芸術部門)を受賞するなど、日本および京都との関係も深い。
2012年ドクメンタ13に出品された壮大なビデオ・インスタレーション《時間の抵抗》は、PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015のプレイベントとして、2014年2月–3月に京都の元・立誠小学校講堂で展示された。

関連リンク:プレイベント[作品展示]ウィリアム・ケントリッジ《時間の抵抗》(2014年2月8日–3月16日)

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上段・左・中央: William Kentridge, NO, IT IS, 2012. Photo by Cathy Carver, courtesy of Marian Goodman Gallery, New York. © William Kentridge 上段・右: ウィリアム・ケントリッジ《時間の抵抗》2012 映像からのスチル(提供:ウィリアム・ケントリッジ・スタジオ) © William Kentridge 下段: プレイベント[作品展示]ウィリアム・ケントリッジ《時間の抵抗》展示風景 写真:四方邦熈 提供:PARASOPHIA事務局






スーザン・フィリップス(Susan Philipsz)
1965年イギリス・グラスゴー生まれ、ベルリン在住
www.susanphilipszyouarenotalone.com

初期の作品は彼女の歌唱を唯一の音源(楽器)として使い、民謡やポップスを歌う彼女の声をシンプルなスピーカー構成で作品化する。作品は美術館やギャラリーなどの空間ではなく、バス停や高架下、スーパーマーケットなどの日常的な騒音が混在する場所に置かれることが多い。設置場所に応じて選ばれる歌は、しばしば政治的、社会的な意味を持っているが、フィリップスの優しい歌声は、歌詞が伝えるメッセージだけではなく、鑑賞者自身の個人的な記憶や感情を強く喚起し、聞く者に今いる場所の記憶を再認識させる。彼女の作品はサウンドインスタレーションとして分類されることが多いが、音を素材に時間と空間を分節する彫刻であるともいえる。2000年のマニフェスタ3、2007年にミュンスター彫刻プロジェクト、2012年ドクメンタ13に参加。2010年のターナー賞を受賞。

関連リンク:オープンリサーチプログラム[レクチャー]スーザン・フィリップス「You Are Not Alone」(2014年4月20日)

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上段: Susan Philipsz, Study for Strings, 2012. Installation view at Kassel Hauptbahnhof, Kassel. Photo by Eoghan McTigue, courtesy of the artist, Galerie Isabella Bortolozzi, Berlin and Tanya Bonakdar Gallery, New York. © Susan Philipsz 下段: Susan Philipsz, Part File Score, 2014. Installation view at Hamburger Bahnhof, Berlin. Photo by Nick Ash, courtesy of the artist, Galerie Isabella Bortolozzi, Berlin and Tanya Bonakdar Gallery, New York. © Susan Philipsz






ドミニク・ゴンザレス=フォルステル(Dominique Gonzalez-Foerster)
1965年フランス・ストラスブール生まれ、 パリとリオデジャネイロを拠点に活動
www.dgf5.com

グルノーブルの美術学校を卒業後、80年代後半から自身が「ルーム」と呼ぶ一連の部屋のインスタレーションを制作する。映像、光、音、家具などが組み合わされるその作品は、知覚を通じて鑑賞者の記憶を刺激し、作品である室内を物語に満ちた本であるかのような空間に変容させる。彼女の作品は鑑賞者とのインタラクティブな関係を重視するだけではなく、作品状況を生み出す過程で 生じる物理的・心理的構成要素の間の関係性、特に制作過程での人々の関与を重視しており、その作品はリレーショナル・アートとして分類されてきた。
近年はシネマ、テキスト、本、言語から発生するイメージ とフィクション(物語)の、織物にも似た複雑な関係を、様々なメディアを使いながら深く静かに考察するパフォーマンスや映像作品を制作している。
2013年9月オープンリサーチプログラム03として実演された《M.2062 (Scarlett)》は彼女の、PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015のための最新の習作であった。

関連リンク:オープンリサーチプログラム[レクチャー/パフォーマンス]ドミニク・ゴンザレス=フォルステル「M.2062 (Scarlett)」(2013年9月6日)

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全て: ドミニク・ゴンザレス=フォルステル《M.2062 (Scarlett)》 2013年9月6日 PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015 オープンリサーチプログラム 写真:林直 提供:PARASOPHIA事務局 © Dominique Gonzalez-Foerster






やなぎみわ(やなぎ みわ)
1967年神戸生まれ、京都在住
www.yanagimiwa.net

制服姿のエレベーターガールの写真シリーズなど、現代社会に生きる女性を扱った作品で90年代半ばから注目を集める。最初期の作品に案内嬢を使ったパフォーマンスがあり、その後の写真・映像作品にも演劇的側面は重要な作品要素であった。近年その演劇志向はより強まり、築地小劇場を題材とした演劇三部作『1924』(2011–12)が上演された。匿名の声というメディアに取り組んだ『ゼロ・アワー 〜東京ローズ最後のテープ〜』(KAAT神奈川芸術劇場、愛知県芸術劇場[あいちトリエンナーレ2013])を作演出。写真作品のモデルであった「案内嬢」は、劇中で狂言回しとして登場している。ヨコハマトリエンナーレ2014では、中上健次の『日輪の翼』を舞台化するための移動舞台車を発表。4ヶ月後のPARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015では、その舞台車を引き継ぎ、京都での移動演劇の上演の実現を目指している。やなぎのプロジェクトは二つの国際展を横断するという画期的な試みとなる。

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やなぎみわ演劇プロジェクト『1924 人間機械』 2012